あたらしい場所

第4章

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五十路男物語
第4章 あたらしい暮らし、その先へ
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そこから暫くは理沙の転勤地は決まらず、モヤモヤとした半月間となりました。

・・・。

私はもう春から、優太と理沙と遥の4人で新生活をスタートしたいという気持ちでいっぱいでしたが、結果的に進むも退くも出来ずに、理沙の転勤先決定を待つしか無い状態。

何をするにも宙ぶらりんで落ち着かないというか、これが決まらないと何も出来ない。

一番大事な部分のピースが欠けた状態で、何をするにも心ここにあらずな感じでした。

お仕事のはなし

コロナウイルスが猛威を振るって近隣の飲食店も営業をお休みするなか、閉店セールの大盛況が続いていました。

一時閉店に伴って、暫くぶりに来店される常連さん、コロナでお店を休んで暇になった飲食店さん、勿論セールということで初めて来店されるお客さん。店長として毎日仕事を捌きながら、次の移転先の選定や商品の絞り込み、仕入れ先への開店セールの企画の詰めなど、毎日目が回りそうな忙しさでした。

でも、このビッグウェーブのまっただ中を采配して、現場を回していく感覚は嫌いではありません。

「なんかメッチャ生きてる俺!!!」って感じでした・笑

本社の背広組は相変わらず他人事モードに見えて、「お前らちょっとは手伝えゴルァ!!」でしたけど・笑

自社テナントも含めて、移転先の候補はいくつかありましたが、なんだか「帯に短し襷に長し」で、そこもまた悩みの種でもありました。

理沙の迷い

当時の私は色々と舞い上がっていたので気づいていませんでしたが、後で理沙から聞いた話では、前の結婚で辛い思いをしたこともあって、また同じことになるのではないか、という不安があったようです。その一方で誰かに支えて欲しい。安心したいという気持ちもありました。

何より、パートナーの子供である優太を大切にしたい気持ちはあっても、男の子のお世話が自分に出来るのだろうか。

そんな葛藤があったようです。

その一方で私自身も

優太を安心させたい。新しい生活を作ってやりたい。前の結婚で失敗したからこそ、今度こそ家族をうまくやりたい。自分も改めて理沙と幸せになりたい。

そんな思いも強く持っていました。

そんなある日、理沙からLINEが届きました。

「なち君、白老勤務の話しが来たよ。」

少しだけ考えて

「そうなんや。やっと連絡来て良かったね!」
「後でまたLINEするねー。」

とだけ返信しました。

理沙からは
「話を受けるか迷ってます」

すぐに返信が来ました。

あたらしい場所

白老

函館に向かう特急は止まりますが、感覚的には殆ど道南の室蘭です。
特急に乗ったとして、片道1時間とちょっと。職場まで乗り換え含めて1時間半。
定期代を調べてみると・・・特急定期で一ヶ月8万円弱。

色々とキツいな・・・。

事務所で会社の就業規則を調べてみると・・・

「交通費は非課税限度額まで全額支給」
とあります。※上限15万円まで全額支給。

交通費に関しては問題ありません。

特急なら一時間ちょっと。
電車なら寝られる。
本も読める。
まあ、なんとかなるっしょ。

…ていうか、なんとかしよう。

改めて、理沙に電話を入れます。

なち
「迷ってるってどうして?千歳の物件見に行った時は良い感じだったでしょ?」
「仕事の内容とか白老の街の問題?」

理沙
「やっぱり、優太君のことを迷ってる。」

あー、やっぱりそこだよなと思いながら

なち
「今まで違う生活をしてきた他人同士が4人で集まるから、上手く行かないこともあると思うけど、みんなで協力しながら、友達みたいな家族からスタートしていったらいいんじゃないかな?」
「会社から交通費は全額出るから、通勤のお金の心配はないよ。」
「通勤は楽ではないと思うけど、本読んだり寝たり出来るしね♪」

それでも不安が拭いきれないのか、黙っている理沙に

「俺も全力で理沙ちゃんのフォローするしさ。」
「最初はクラブの合宿みたいな感じでさ。」

なんか色々と電話口でプレゼン(?)しまくる私。

黙って私の話を聞いている理沙。
少しだけ考えたあとで

うん。じゃあ、よろしくお願いします」

その言葉を聞けて心からホッとした記憶があります。

なち
「じゃあ、お互いに白老の住まいの情報あつめて共有しよう♪」

私は薄暗かった道がパッと明るく開いたような感じでした。

白老へGO♪

理沙と2人でネットの不動産物件を穴が空くほど調べてから絞り込んだ3軒。

お互いの休みの日に内見を依頼して、4人で白老の街に向かいます。
特急に乗って、優太と2人で白老の街に降り立ちます。

駅で車で来た理沙と遥と合流して、不動産屋さんと待ち合わせた最初の物件へと向かいます。

一軒家が多いからか、この街は3LDKのファミリー向け物件が少なく、築浅となると本当に数えるほど。

1軒目

うーん・・・なんか微妙。

2軒目

間取りも広いし、家賃も手頃。駅からも徒歩10分程度だし、私は結構いいんじゃない?と思いましたが

理沙は
「物件そのものは良いんだけど・・・」
「ここはA小学校の校区だからちょっと考えたいです。」
「次の物件はB小学校校区だから・・・」
(※B小学校の方が成績やらなんやらが良い・・・らしい)

小学校なんてどこでもあんま変わらないんじゃね?と思いつつ2軒目は保留してキープ。

3軒目
ちょっとだけ前の2軒より家賃は高いけど、まだ駐車場の舗装が終わっていない新築。

綺麗。
キッチン広い。
間取りも良い感じ。
設備も充実。

なち「ここ、いいんじゃない!?」
理沙「うん、すごく良いね!」

なち「はるちゃん、優太くんどうだい?」

子どもたちも部屋を見てワチャワチャ。

「なんかキッチンがカワイイ!」
優太「窓の手すりの形がカッコいい!(謎)」

不動産屋さんに聞くと、午後から別件の内見予定も入っているとのこと。

「じゃあ、ここにしようか」
「うん」

その場で申し込みを決めました。

こうして、新しい住まいも決まりました。

優太と2人で暮らしていくことが決まってから半年。春からの新しい生活がようやく形になったのでした。

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