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五十路男物語
第4章 あたらしい暮らし、その先へ
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締め出し事件以降、家の中での不和はかなり表面化してしまっていました。
今回の一件に関して自分の対応の落ち度が大きかったのは重々承知していましたが、私の中では理沙の優太への対応に対して大きな疑問符がついてしまい、信頼できないという訳ではありませんが、心のどこかで一線を引きながら話している自分がいました。
敢えてあまり触れてきませんでしたが、理沙の前夫との大きな問題は継続していて、理沙の方でもそれに伴う精神的な負担が大きくなっていました。
お互いに余裕があれば普通に問題点をすり合わせられるのに、私も優太のことになると感情的になってしまい、喧嘩になることも増えてきます。
理沙は
「わたしもいま凄く大変なのに、なち君は私のことを助けてくれない。」
「もっと私の話を聞いてほしい」
と言われ
私は私で
「特別なことはしなくていいから、優太が多少上手く出来なくても普通に諭してくれ。」
「とにかく優太が毎日安心できるようにしてくれ。」
と言う。
しかし余裕のない私たちは、お互いの話をニュートラルに受け入れられない状態でした。
そんなギスギスとした大人同士のイライラの影響を真っ先に受けてしまうのが一番ちいさな優太でした。
夜が怖い
時系列的に前後するかも知れません。
たまたま早く仕事が引けて早い時間に帰ってこれた夜。久しぶりに家族4人で夕食を食べて、優太を風呂に入れて早めに布団へと寝かしつけに行きます。
二段ベッドの上の布団に優太を寝かせてトントンしながら久しぶりに優太と話します。
学校の友達の話や勉強の話。好きな漫画の話。学童の先生の話・・・。
普通なら比較的直ぐに寝付く優太がぱっちりと目を開けてなかなか寝ません。
なち
「優太くんどうしたー。寝れないんか?」
優太
「……。」
すこしの沈黙のあとで
「きょうはパパがいるからいいけどさ。」
「ボク、夜が怖いんだ。」
「うまく出来ないボクがわるいんだけど。」
「野菜が食べられなかったり、なにか失敗したらりさちゃんに怒られるのが怖いの。」
「夜になったらごはんたべたりしなきゃだめじゃん。」
「夜にならなきゃいいのに…」
・・・・。
言葉が出てきません。
理沙への怒りよりもなによりも。
胸が詰まってしまって何も言葉が出てきません。
・・・・
・・・
そうか…。
パパが上手くやってやれなくって、パパがいないときが辛いな。
パパが絶対になんとかするからゴメンな。
気が付いたら涙があふれていました。
なち
「…うん、今日はパパいるからさ。何かあってもすぐに行くから。」
「今日は早く寝るんだよ…」
・・・・
暫くして、安心したのか優太が眠りについたのを見届けてから、静かに子供部屋を出ました。
胸の内で自分への大きな自己嫌悪と理沙への大きな怒りが燃えていました。
でも、その時は怒りに任せて理沙と議論はしませんでした。
その場で理沙とぶつかっても、また同じことの繰り返しになる気がしました。
私には私の思いがあり、理沙には理沙の思いがある。
今ここで言い合っても、優太が安心できるようにはならない。
開店前夜
個人的な大きな大きな問題を抱えながらも。
長距離通勤で寝過ごしたりしながらも。
毎日高い栄養ドリンクを何本も消費しながらも。
いよいよ新店舗オープンまであと3日となりました。
でも、最後の追い込みもあってオープン前日は泊まり込みが必要な状況でした。
これまでの私なら何も考えずに理沙に「31日泊まるから優太のことを宜しくね!」などと頼んでいたかも知れません。
でも、敢えてにこやかに
「夏帆ちゃんが自然園の集まりあるから、優太君と遊びに来ない?って言ってるんだよね。」
「31日多分徹夜だから、お昼に夏帆ちゃんちに優太連れて行ってそのまま泊めてもらう感じで話ししてあるから。」
「週末たまにははるちゃんと2人でゆっくりしたら良いよ。」
などと理沙には伝えます。
理沙は
「そうなんだー、じゃあたまには2人で過ごさせてもらおうかな。」
ただ…。
その日に自然園の集まりなんて無いし、そもそも夏帆ちゃんにはこれから頼むんだがな!!
夏帆ちゃんとのメッセンジャー
そんなこんなで、夏帆ちゃんにメッセンジャーを入れます。
なち
「夏帆ちゃん起きてるー?」
夏帆
「生きてるよー」
なち
「折り入ってお願いがありまして…」
夏帆
「借金の保証人にはならんぞ笑」
なち
「んなもん期待してないわww」
「土日って皆さんおうちいらっしゃる?」
夏帆
「居るよー日曜は自宅で仕事だけど」
なち
「優太遊びに行けないかなと。」
「○○(私の店)1日オープンで多分前日徹夜になりそうでさ」
「家にいるのがちょっと辛いみたいなんよね。」
夏帆
「どした?なんかあったん?」
なち
「パートナーと優太が折り合いが悪くてね。」
「彼女の言ってることは正しいんだけど、あたりが強いのさ。」
「優太⇔娘ちゃん⇔俺⇔パートナーは問題なし」
「でも、優太⇔パートナーがどうにもアカンのよ。」
「夜になるのがイヤって言う。」
「彼の心を護ってあげないといかん。」
夏帆
「おっけー!ウチは全然大丈夫だよ。」
「なんか事情ありそうだね。近々ゆっくり聞くからなち君もおいで。」
なち「おう!話し聞いてほしいな。」
そして最後に、夏帆ちゃんへもう一つメッセージを送りました。
「近々札幌に戻るは」
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正直それどころではありません
【第4章 第21話 9/17更新】
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