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五十路男物語
第4章 あたらしい暮らし、その先へ
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新店舗のオープンまであとわずか。
私の仕事もいよいよ最後の追い込みに入り、家を朝早く出て夜遅くに帰宅する日々が続いていました。日々がかなりハードで毎日栄養ドリンクを飲んでいた記憶があります。
そんな初夏のある日のことでした。
締め出し事件
なんのイベントだったか忘れてしまいましたが、その日は1年生は短縮授業で、給食を食べたら授業が終わりの日でした。遥たち2年生は通常授業だったので、別々の行動になることに一抹の不安を感じながらも
優太には「学校終わったら学童に行くんだよ!」とかなりしつこく伝えました。
優太は「わかったー!」と元気の良い返事。
本当に大丈夫かいなと心配しながらも、学童には毎日行ってるから大丈夫かな?と学校へと送り出し、その日はそのまま出勤しました。
業者さんの電話対応や開店のためのリストをチェックしたりと、忙しく仕事をしていた14時ごろだったでしょうか。
プルルルル…
理沙からの電話でした。
「なち君、優太君が学童に行かずに家に帰って、誰もいないから家に入れなくって、玄関で泣いているのを警察で保護されたみたいなの。いまから戻って迎えに行けるかな?」
まじかー。朝あれだけ伝えたのになぁ。
「ゴメン。今から打ち合わせが入ってしまっているのと、今から向かっても2時間はかかっちゃうんだ。すごく申し訳ないんだけど、理沙ちゃん代わりに迎えに行ってあげれるかな?」
「…。わかったよ。」
「本当にごめん。ありがとう!!」
少しだけホッとしながらも心配で気が気ではありません。
6歳の優太が勘違いして家に帰ってきて、誰もいないからといって「じゃあ学校に戻ろう」なんて考えられるはずもないよな…。まだ来て間もない街に独りぼっちでどれだけ不安だったろう…。
まったく仕事に手が付かず、夕方に改めて理沙に電話を入れてみます。
プルルルル・・・
理沙「はい。」
電話口では優太の号泣する声。
「無事に帰ってきてるから。夜にまた話しましょう。」
メチャクチャ怒っている様子の理沙。
電話を切った後、沸々と怒りが湧いてきます。
なんで優太があんなに電話口で号泣してるんや??
しかし、その日は仕事が押していてすぐには店を出られず、夜遅くの帰宅になりました。
大人の責任
帰宅するともう23時でした。もちろん優太は寝ています。ダイニングテーブルに座っている理沙。
なち
「仕事切り上げて代わりに迎えに行ってくれてありがとう。抜けられんで任せてゴメン。」
「でも、なんで怖い思いして家に帰ってきてるのに号泣させてるん!?」
理沙
「大人があれだけ伝えて話を聞いていなかったことに対しては怒るよ。」
「そんなことよりも、なち君は責任感が無さ過ぎる。わたしなら仕事を終わらせて帰ってくる。」
なち
「それは悪いと思っているし、電話でも謝ったやん。」
理沙
「なち君のスタンスのことを言ってるの。」
内心では怒り心頭な私。
(6歳の優太は不安で仕方なかったろうに、帰ってきてからそこまで怒ることか)
でも理沙の言い分もわかります。
自分の仕事を切り上げてまで迎えに行ってくれたのは理沙です。
ぐっと抑えて
「対応してくれてありがとう。助かった」
「カッとなってきつい言い方してゴメン。」
そのまま理沙はわかったよ。と言い残して寝室に入りましたが、釈然としない思いが私の胸の内を満たしていたのでした。
学童にて
翌日、仕事が遅番で午後から出勤の私は、優太を保護してくれた白老警察署にお詫びとお礼を言いに行き、担当官の方にも改めて深い感謝を伝えて、その足で学童にお詫びに行きます。
学童の時間外でしたが、クラス担当の先生が出てきてくれて
お父さんおはようございます。
昨日は優太君大変でしたね。私たちも前の日にちょっと心配していたんですけど。
お父さん、私が言っていいのか。
それぞれの家庭の事情もあるので言いづらいのですが…と前置きしたうえで、先生は優太と理沙の関わり方について、遥と比較するとどうしても気になってしまうと話してくれました。
そして先生は続けます。
「優太君は優しくていい子ですよ」
「他の子とも仲良くやっています」
「私たちも見ていますから」
そんな話を聞いていると、自分の中で蓋をしていた想いがあふれてきます。
「私が言う資格はないんですけど、色々あって家ではしんどいみたいで。」
「ずっとそばにいてやれたらいいんですけど。」
「学童の先生は好きと言っていて、学童に居る時は安心できているみたいで」
「私も凄く悩んでいて、間に入っているのですがなかなか上手く行かなくって。」
「本当に助かっています。これからも優太のことを宜しくお願いします。」
お父さん、大丈夫ですよ。私たちもフォローしますので!
そんな先生の言葉に感情が溢れてしまい、涙が出てきて止まらなくなってしまいます。
「…いや、スミマセン。」
「これからも宜しくお願いします…。」
頑張って涙を引っ込めようとしますが出来ずに、先生にお礼を告げて学童を出ます。
帰路でもなかなか涙が止まりませんでした。
どれだけ怖かったろう。
どれだけ不安だったろう。
俺はいったい何をやってるんだろう。
このままでいいのか。
私は強く考え始めたのでした。
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仕事はいよいよ佳境を迎えますが…
【第4章 第20話へ続く】
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