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五十路男物語
第4章 あたらしい暮らし、その先へ
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送信ボタンを押した指が、少しだけ震えていたのを覚えています。
「もし嫌じゃなければ」
なんて前置きをつけたのは、拒絶される可能性をあらかじめ自分に言い聞かせておきたかったからかもしれません。
意外と早く返ってきたLINE。
理沙
「いいですよ。私もなちさんとちゃんと話してみたかったです。」
「日程、調整しますね。」
その一文を見た瞬間、安心して肩の力がふっと抜けました。
画面の向こうで理沙がどんな表情をしていたのかは分かりません。でも、少なくとも「嫌だ」とは言われなかった。それだけでホッとしたのを覚えています。
創作居酒屋の夜景
約束の日は、平日の夜でした。
そうそうに仕事を切り上げて予約しておいた、地上14階の「夜景が綺麗な」創作居酒屋に向かいます。
※メシじゃなくてデートやないか!という突っ込みは却下します。
個室ではなく、カウンターでもなく。ほどほどに距離を取れるテーブル席を選び、理沙の到着を待ちます。
注文のメニューを眺めながらも、緊張して頭はほとんど回転していません。
そして理沙到着。
短めのダウンを羽織った、シンプルだけど落ち着いた装いで、薄化粧が可愛いです。
理沙
「なちさんこんばんは。」
「誘ってくれてありがとうございます。」
なち
「来てくれてありがとうね。そのダウンシンプルで可愛いね。」
「ママお出かけして、遥ちゃん大丈夫?」
理沙
「母のところに頼んできたので大丈夫です笑」
理沙と改めて席に着いて最初の数分はカチカチでぎこちなかった記憶があります。
お互いにLINEだとあんなに饒舌なのに、対面になると急に言葉が慎重になってしまいます。
天気の話。
子供の話。
最近の仕事の話。
学生時代の部活の話。
無難な話題ばかりを選んでしまいますが、お互いにお酒が入って少しした頃には肩の力が抜けていました。こうなるとお互い普段の調子が戻ってきます。
理沙は明るく良く笑うひとで、頭の回転が速いので話しをしていて本当に心地良く楽しい。
でも子供のようなリアクションだったりすることもあって、初めて食べた「タコまんま」や「亀の手」などのビジュに目を丸くしたり。それらの味わいの塩味の濃さの是非について議論したり・・・。
ああ、こういうのって本当に忘れていた感覚だなぁ。そしてそう思えるのが嬉しいなぁ。
そう感じたことを良く覚えています。
お酒も進むと、話は自然とお互いの過去に触れていきます。
理沙の離婚の経緯。
娘の遥のこと。
まだ継続している問題のこと。
美雪との長い膠着状態のこと。
バリ島移住時代の心の内。
ようやく踏み出すことが出来て離婚したこと。
そんなことを、少しずつ話しました。
重たい話なのに、不思議と苦しさは在りませんでした。心に抱えていた思いを言葉にすることで、少しだけ気持ちが軽くなっていくようにも感じました。
時間は過ぎて・・・そして地上へ
楽しい時間はあっという間に過ぎて、空高い14階の店を2人で出ます。エレベーターで地上に降りると、冬にさしかかった夜風が心地良く感じます。
理沙
「今日は、ありがとうございました。」
「久しぶりに、ちゃんと人と話した気がします。」
なち
「こちらこそ、ありがとうね。すごく楽しかった。」
理沙
「なちさんって、すごく優しいひとですね。」
なち
「全然そんなことないよ。いつも痩せ我慢してるだけだよ・笑」
「なんで?」
理沙
「ずっと私のことを気遣ってくれて話しを聞いてくれましたよね。」
「なんだか嬉しかったです。」
すごく嬉しいなぁ。という気持ちとともに、これで今日は終わってしまうのが嫌だなぁ。そんな気持ちが大きくなりました。
なち
「理沙さん。」
理沙
「はい。」
なち
「もっとお話ししたいから、もう一軒付き合ってくれませんか?」
理沙は少し考えたあと、クスっと笑って頷きました。
理沙
「なちさんのオゴリですよww」
その後。
2人でバーに行ってカクテルを飲んで・・・。
2人で観覧車に乗って夜景を見て・・・。
そのあとは・・・。
ご想像にお任せしますwww
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