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五十路男物語
第2章 バリ島移住奮闘編
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震災が起きて以降。
安心できないものは長女に食べさせたくない。
と美雪はどんどん自然派育児に傾倒し、我が家はすっかり環境に優しい生活になっていました。
味噌も手作り。
廃油で台所石けんも作る。
妻の料理教室も自然育児の講座的な内容も加わっていました。
しかしながら、肝心の夫婦の距離はまったく縮まらず、心の中では虚しさも感じていました。
改めて思い返すと、無意識で美雪の顔色を伺いながら「間違えた選択をしない」事に振り回されて来はじめていました。
第二子 優太(ゆうた)誕生
そんな中、本当極々僅かな交流を経て、第二子の男の子を授かりました。
名前は優太(ゆうた)と名付けました。
前回の妊娠で美雪を十分に支えられなかったという後悔があったので、職場にも相談し、できる限り彼女を支えられる環境を整えました。
出産も助産師さんにお願いしての自宅出産でした。
出産後は1週間仕事を休んで長女の綾のお世話、美雪の体のフォローを行って来ました。
時がたち、優太もすくすくと元気に成長していきました。
綾も自然園の年長さんになり、弟を溺愛するお姉さんになっていました。

※同じ自然園の友人が脱サラしてワイナリーをスタートしたので応援に行きました。
私も毎日子育てに全力で奔走していて、園の父兄からは(おそらくは)仲良し夫婦に見えていました。
でも、夫婦間の溝は浅くなったように見えて、とても根深いものがありました。
元に戻りたくて毎日毎日美雪の顔色をうかがってばかりいました。
嫌われないように。
間違えないように。
怒らせないように。
縮まらない心の距離に毎日悩んだり、思っていることをぶつけるのも、関係がこれ以上おかしくなるのを恐れて踏み込めずにいました。
そして美雪はたまたま縁あって、被災して東北から母子移住してきた方の支援のお手伝いをすることになりました。
その方たちと接する中で、私が知ることのなかった話を数多く耳にするようになりました。
そこでは北海道では知るべくもなかった、原発に関係した生々しい情報の数々が耳に入ってきます。
海外移住のススメ
ある日のこと、子供たちが寝入ったあとで、いつも明るい美雪が暗い表情で
「なち君、大事な話があるんだけど…」
と話してきました。
なんか怒られるようなことしたかいな??
と正座して向き合うと。
美雪
「〇〇さん(被災避難者の方)の話を聞いても関東には行けないと思っているし、北海道だって
いつまでも安全じゃないと思ってる。
お金のこともあるから今すぐじゃなくても、綾ちゃんと優太君のこれからの人生のために、日本から出たいと思っているけれど、なち君はこれからをどう考えているか聞かせてほしい。」
もう本当にまっすぐな眼差しを向けて。
正直なところ、その時の私はそこまで深く考えていませんでした。
なち
「どうするのが正しいのかはわからないけれど。」
「美雪がそこまで考えて出した答えなら、まずは尊重したい。」
「子供たちを安全なところで暮させたいというのは同じ考えだよ」
などと、とーってもフワッとした返事をしたことを覚えています。
しかし内心は
「いや飛躍しすぎやろ?」
「お金どうするの?」
「英語得意じゃないやん?」
「学校どうするの?」
「海外危険やん?」
「老後とかどうするん?」
などという感情が渦巻いていました。
でも、その疑問を一つも口にしませんでした。
「彼女はここまで考えているんだから。」
そう思って、自分の中にしまい込んでしまいました。
思えばこの時に、何日も何週間も話し合っていれば、違う未来もあったのかもしれません。
もちろん、それは今だから思えることですが。
それから、しばらくはお互い日々の忙しさ、育児の忙しさによって移住の話は立ち消えになっていました。(と、勝手に思っていました)
ずっと引っかかってはいたのですが、現実感が無さ過ぎて自分からは切り出せずにいました。
そして結論も出ないまま、月日だけが過ぎていきました。
妻の決断
長男の優太も一歳半になり、少しずつ手がかからなくなってきました。
長女の綾も小学校へ進んで学校生活を楽しみ、ようやく家族の毎日が落ち着いてきたように感じていました。
そんなときでした。
「なち君、バリ島に行こうと思う」
私は一瞬、何を言われたのか分かりませんでした。
バリ島??
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~バリ島に行くってどういうこと?~
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