離婚届を出した日

第3章

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五十路男物語
第3章 夢の終わりと再構築
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綾は美雪と。
優太は私と。

子供たちのこれからについて、まずは一つの結論が出ました。
あとは離婚届をいつ出すかということでした。

美雪は、
「日にちはなち君に任せるよ」

と言いました。

「うーん・・・。」

私は少し考えました。離婚届を出す日なんて、記念日とは真逆のものです。
それでも色々と考えた末、私は翌週に控えていた自分の誕生日を選びました。

「よし、来週。俺の誕生日にしよう!

美雪
「何で誕生日なの?・笑」

なち
「いや、そしたら一生忘れないなって思って。」
「その日きみ仕事でしょ。俺一人で出してくるよ。」

離婚届を出した日

そして、私の誕生日。

区役所へ向かって歩きながら、色々なことを思い出していました。

美雪と初めて出会った時のこと。
一緒にいるだけで楽しかった頃のこと。
結婚した時には、この人とずっと一緒にいるものだと思っていたこと。
綾が産まれて、何も出来なくて戸惑ったこと。
子育てに悩んでぶつかったこと。
綾を山奥の自然園まで毎日送り迎えしたこと。
自宅出産で優太が産まれたこと。
そして、家族4人で挑戦したバリ島移住。

楽しいことばかりではありませんでした。
苦しかったことも、喧嘩したことも、たくさんありました。

それでも。

私は美雪のことが大好きでした。
だから、あれだけ苦しみましたし、哀しみました。

後悔が無かったといえば嘘になります。

窓口にて

書類を提出して、番号札を受け取りました。

117番。

数分後。

「117番の番号札の方、窓口までどうぞ」

窓口の方
「はい、なち様ですね。書類の方、本日付で受理されました」

なち
「えっと…もう終わりですか?」

窓口の方
「はい。以上で終了になります。お疲れ様でした」

なち
「…ありがとうございました」

それだけでした。

十数年間続いた結婚生活が、正式に終わった瞬間でした。
何か特別なことが起きるわけでもありません。

もっと何か感じるのかと思っていました。
でも、そこに至るまでに何度も悩んで、迷って、話し合ってきたからでしょうか。
思っていたよりも、気持ちは静かでした。

家に帰ってから、美雪に伝えました。

「今日、書類出してきたよ」

「そっか。お疲れさま」

それだけだったと思います。

あの時、美雪が何を思っていたのかは分かりません。
私と同じように何かを思い出していたのか。
寂しかったのか。
それとも、ほっとしていたのか。

それは、美雪にしか分かりません。

この日をもって、私たちは正式に夫婦ではなくなりました。

でも、

私たちには、まだ2人の子供たちの親としての仕事が残っています。

綾が小学校を卒業する春まで、あと半年。

離婚した元夫婦と、二人の子供。
家族4人での生活は、もうしばらく続きます。

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